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971 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 00 56.28 ID 4XbO6Lu90 新スレ 【俺妹】高坂桐乃 晩58ん いない兄貴の 椅子を蹴り ttp //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1310036401/ 972 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 01 23.11 ID 9Rd9Z8TgP 971 乙 973 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 01 53.88 ID RTTPtBby0 971 おつ 974 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 03 44.53 ID Uzw/nz4bO 971 おつ!良いスレタイだね 975 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 04 33.81 ID iv7Q4/6D0 971 乙! 976 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 05 49.95 ID X1JupxJH0 ノ) 971乙 へ8" ̄ ̄8へ ( (/ィ人レ人) ) あやせのヤロー、次スレでは目にモノ見せてやんよ ()人 ゚Д゚人( ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 977 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 05 52.23 ID ATQhJGTrP 971 乙 もうすぐ60スレか 一時100スレ目云々てSSがあったけどだんだん現実味を帯びてきた気がするw 978 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 07 01.05 ID SWybLd1Q0 971乙!良心のある人でよかったw 979 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 07 14.92 ID DSYmBcewO 971 乙 980 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 09 07.12 ID 4XbO6Lu90 978 スレタイには良識はあるが高坂兄妹に対しては無いぜ! はやくぺろぺろし合ってギュッとするだけの簡単なお仕事をするんだ! なに、あやせ?任せろ! 976のカナカナを道連れにして食い止めてやるさ 981 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 09 41.92 ID OBLV4g8Q0 971 乙! 立てられないのに、危うく踏むとこだった 982 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 10 05.93 ID UlEvANdk0 971 おつ! 983 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 11 15.96 ID bHqQzbcq0 971 乙 これは 874で切られた加奈子の左ツインテなんだからね/// 984 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 14 01.12 ID X0HhxfYU0 976 かなかな、世の中には絶対強者というべき相手がだね ・・・いや、諦めないのは大事だよな、うん 985 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 15 00.72 ID Ua+XYZ/w0 971 乙! 5・7・5形式の開拓だな 986 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 15 44.84 ID DSYmBcewO かなかなが埋められる季節がやってきました 987 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 16 47.20 ID SWybLd1Q0 やめたげてよぉ! 988 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 25 51.50 ID X0HhxfYU0 1000ならかなかながあやせたんに勝つ――夢を見る 989 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 28 21.43 ID iv7Q4/6D0 ノ) へ8" ̄ ̄8へ ( (/ィ人レ人) ) ~~~~~~~~~~~~~~~~~ 990 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 29 04.29 ID iv7Q4/6D0 ノ) へ8" ̄ ̄8へ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 991 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 30 08.69 ID iv7Q4/6D0 ノ) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 992 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 30 18.43 ID SWybLd1Q0 ノ) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 993 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 30 20.40 ID i6ZA8qQv0 ノ) . . . . . ,.. ´ ` .、 /. ,>ク ゛ .、 /. . . . . . . . . . 二>´ / ∧ } ヘ. ,. . ./¨´ / ./ ゙ /. . . /. / / / ∨ . . / . / __,ノ / / ハ . / . /  ̄´ / /¨¨`ー‐- ∨. } ,イ ./{ / ,z===x、 /´ z==z、 ` l i l/ .} ./ 〃 ハ{_ ´ ,ィ、 ヽ. l l .l | l .{. {{ {.ソ ヒリ l}、_ } リ ハ. .| ヽ _ ノ / j イ ゙{i | i ` ̄ ̄´ / .ハ | | ゛ / |゙ヽ;. / l { / l lノ.}/ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 994 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 31 13.05 ID RTTPtBby0 やめれww 995 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 31 28.79 ID SWybLd1Q0 993 うわあああああああああああああ 996 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 31 43.08 ID iv7Q4/6D0 993 www 誰かやってくれないかと期待してたら 本当にきたw 997 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 36 12.42 ID DSYmBcewO 1000ならきりりんの願い事が叶う 998 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 36 24.45 ID Uzw/nz4bO 1000なら簡単なお仕事in上海がくる 999 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 36 37.18 ID SWybLd1Q0 ノ) へ8" ̄ ̄8へ ( (/ィ人レ人) ) 1000なら次回からあやせが埋まれヨ ()人 ゚Д゚人( ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 1000 :名無しさん@お腹いっぱい。:2011/07/07(木) 20 36 52.23 ID Y4nqwzV10 1000ならあやせが埋められる
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272 名前:【SS】あやかドール 1/3[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 16 48 30.44 ID ya825ESv0 [5/14] 「うっひょぉぉぉぉぉ!!! キタキタキタキタァァァァァァアアア!!!!」 隣の部屋で桐乃が発狂した。 「このレベルは珍しいな。 この間桐乃が入手した、メルル抱き枕以来じゃないか?」 桐乃に自慢された表が変身途中(つまりマッパ)で、 裏が戦闘でズタボロ(つまりほぼマッパ)のメルル抱き枕は持ってるだけで逮捕されかねないシロモノだった。 「今度は何を手に入れたんだ?」 なんか気になる。 どうせしばらくすれば自慢しに俺の部屋に現れるだろうが、その前にこちらから出向くか。 「おい桐乃、どうしたんだ?」 桐乃の部屋の扉をノックし声をかけしばらくすると、扉がガチャリと開き桐乃が顔を覗かせた。 「な~に?」 こちらを見る桐乃の顔は蕩け切っている。 いつぞやの黒猫姉妹と温泉に行くと張り切っていたときと同じ顔だ。 まさかこのシスコンにしてロリコン、黒猫姉妹を拉致ってきたんじゃないだろうな。 「隣の部屋から奇声が聞こえてきたんでな。 心配になって見に来たんだよ」 「はぁ?あたし奇声なんて上げてないし」 思いっきり上げてたけどな。 「それで、何が届いたんだ?」 「これこれ!見て見て!」 桐乃が俺の手を掴むと部屋の中に俺を引き入れ、ベッドの上においてあるソレを指差した。 「これは、あやせ・・・・・・じゃなくて、あやかのドールか?」 『ラブタッチ』の攻略キャラの一人で、あやせにそっくりなヒロイン『あやか』を小さくした姿がそこにはあった。 「うん。あやかの60cmドールだよ」 「おまえ、とうとうドールにまで手を出し始めたのか・・・・・・」 エロゲ、抱き枕、そしてドール。 誰もが躊躇し、『これに手を出したら終わりだろ・・・・・・』と考える3つの壁を、こいつはいともたやすく乗り越えちまったのか・・・・・・ さすがは高坂桐乃様だぜ!そこにシビレもしないし、憧れないがな! 「あたしは女の子なんだから、ドールくらい持っててもおかしくないでしょ?」 そういえばそうだな。 中身がキモオタだからヤバいと思ったが、女の子が人形遊びをするのはいたって普通だよな。 まぁ、中学生ともなるとちっとは希少だとは思うがよ。 「それに見てよ、このデキ。 ゲームからそのまま飛び出してきたみたいっしょ? 前から気になってたんだけどさぁ、ドールスレを覗いてみたらスッゴイ可愛い写真がいっぱい貼られてて、つい買っちゃった♪」 「そ、そうか」 ラブタッチには一時期ハマったし、生きているかのように見えるこのドールのデキがすごく良いのはわかるんだけどよ、 俺にはそれ以上に、桐乃のだらしなく緩んだ顔が気になった。 「うぇひひひひひ。 これからは毎日一緒にいてあげましゅからね~」 前言撤回。 これはやっぱり、女の子のお人形遊びとは似て非なる、もっと恐ろしい何かだ。 桐乃はベッドの上のあやかを抱き上げると様々なポーズをとらせ始めた。 ゲーム内でよく目にしたポーズから、女の子座りしながら上目遣いでこちらを見つめるあざといポーズなど、どれもこれもあやかの魅力を 引き出すものばかりだ。 さすが現役モデルだ。映えるポーズをよくわかってるぜ。 「うわぁぁぁ。 なにコレ。思ってた以上にマジ可愛いんですけど。 こんな可愛い子をお迎えできて、あたし最高に幸せ~!」 桐乃があやかを抱きしめながら床をゴロゴロと転げまわる。 273 名前:【SS】あやかドール 2/3[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 16 48 52.40 ID ya825ESv0 [6/14] ・・・・・・ナニカ、イライラスルンダガ。 俺が胸のモヤモヤと闘いながら桐乃とあやかを見ていると、桐乃は陶酔した眼であやかを見つめ、 「大好きだよ、あやかちゃん! むちゅぅぅ~」 と、口をタコのようにしてあやかを抱き寄せた。 これは― 「ぅぅぅ~・・・・・・あれ? ちょっと、あんたなに人のあやかちゃんを勝手に取り上げてんのよ!」 桐乃の言うとおり、俺はいつの間にか桐乃からあやかを取り上げていた。 「そ、それはだな、え~と・・・・・・」 理由を説明しようするが、どうにも思いつかない。 なぜなら、俺自身無意識の内に行動に出ていたからだ。 「もしかして・・・・・・あんた、嫉妬したの?」 桐乃は蕩けた顔を真剣なものに変え、俺のほうをじっと見つめてきた。 「しっと・・・・・・?」 どういう意味だ?そもそも、俺が何に嫉妬しなきゃいけないんだよ。 「そう、嫉妬。 あんたもラブタッチに嵌ってたし、自分の嫁があたしに奪われると思ったんでしょ。 二次嫁を三次元に持ち込むのは止めてよね」 「おまえが言うなよ!」 「あたしは二次と三次の区別くらいちゃんとついてるし。 ねー、あやかちゃん♪」 ダメだこいつ、早く何とかしないと・・・・・・ 「それに、もしあたしに嫉妬したんじゃないとすると、さっきの行動はなんなの?」 「それはだな・・・・・・」 尋ねる桐乃に、再び言いよどむ。 俺自身わからないんだから、仕方があるまい。 悩む俺の様子を見て桐乃は、 「もしかして、あんたが嫉妬したのってあたしじゃなくて・・・・・・」 「何か言ったか?」 呟く桐乃の言葉が聞き取れず、俺はそう尋ねたが、 「なんでもない! それよりさ、あんた、あたしとあやかちゃんがイチャつくのがそんなにイヤなの?」 「そ、そうみたいだな」 自分でもよくわからんが。 「ふ~ん。 まぁ、あんたがどうしてもって言うなら、あんたの前であやかちゃんとイチャつくのは止めてあげる。 ・・・・・・あんたが嫌がることはしたくないし」 「マジか!?」 「でも、あたしがあやかちゃんにちゅっちゅするのを止めさせておいて、 あんたからは何もなし?」 そうだよな、確かに桐乃だけ我慢するのは不公平だ。 それなら・・・・・・ 「じゃあ、桐乃」 このときの俺は何をトチ狂ったのか、こんなことを言ってしまった。 「桐乃があやかにちゅっちゅする代わりに、俺が桐乃にちゅっちゅしてやるぜ!」 274 名前:【SS】あやかドール 3/3[sage] 投稿日:2011/09/26(月) 16 49 33.58 ID ya825ESv0 [7/14] 「~♪~♪」 俺と桐乃は、部屋で仲良くパソコンのディスプレイでメルルを見ていた。 正確に言えば、あやかを膝の上に乗せ抱きしめる桐乃を、俺が両足の間に座らせ、後ろから抱きしめていた。 「~♪~♪~♪~♪」 俺の提案が受け入れられた結果がコレなんだが・・・・・・ 確かにあの時の俺はヘンなことを提案しちまったが、なんで桐乃もその提案に乗っちまったんだ? 上機嫌にメルルを見る桐乃を、後ろから優しく抱きしめながらそんなことを考える。 「ねえ、あやかちゃん、やっぱメルルは最高だよね!」 「そうだな、桐乃」 桐乃の膝の上にいるあやかの代わりに、俺が返事する。 「このまま最後まで見ちゃいたいんだけど、そうなると寝る時間ないし、今日はこの辺で終わりにしよっか」 「ああ、助かるぜ」 昨日もこれくらいの時間に切り上げたんだが、まだまだ全然慣れねえ・・・・・・ このままあと二時間三時間も桐乃を抱きしめ続けることはさすがに無理だ。 色々と憔悴した俺を、桐乃はちらりと横目で見ると、すぐに視線をあやかに向け、 「それじゃあ、寝る前に一緒にお風呂にはいろっか。 ねぇ、あやかちゃん♪」 と言った。 「おい。ドールをお風呂に入れるのはマズいんじゃないか?」 無駄だとは思うが、一応言ってみる。 「ビニール袋に入れるなり、水着なりを着せればたぶんOKだって」 桐乃は視線をあやかから俺に移すと、真っ赤な顔で上目使いをしながら、 「それとも、あたしとあやかが一緒にお風呂はいるの、イヤなの?」 「イヤだ!!」 つい叫んでしまった。 「仕方ないな。桐乃とあやかがイチャつくのはイヤだし、代わりに俺が桐乃と一緒にお風呂に入ってやるよ」 桐乃があやかにちゅっちゅする代わりに、俺が桐乃にちゅっちゅする。 俺から言い出したことだ。 だから、仕方がない。 「・・・・・・キモ」 キモいならあやかと一緒にお風呂に入るなんて言わなきゃいいだろ? 「それと、お風呂から上がったら、おやすみのチューして、それから抱きしめて寝るから。 いい?」 「全然ダメだ。だから俺が代わりにやってやるよ」 まったく、仕方がない。 桐乃があやかを抱きしめる代わりに、俺が桐乃の手をとると、俺たちは二人で部屋を出た。 「・・・・・・うへぇ」 誰もいない部屋でなにやら声が発せられたが、その声は誰にも届かなかった。 -------------
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さて、あのクリスマスイブの一夜からそれなりの時が過ぎた。 兄と付き合い始めたあたしが、どんな日々を送っているのかを語ろうと思う。思うんだけど、 間違っても恋人同士の甘いいちゃいちゃを期待しないでよね。 ぶっちゃけ、そういうのないから。 でもね、クリスマスイブにあんな告白してきた京介に対してなんにもしてあげないってのは、なんか可哀相だからさ、 オフ会の日にゲーセンで会った櫻井さんが言ってた『お布団デート』をしようと思って、 こないだ寝ている京介のベッドに潜り込んで添い寝してあげたの。 そしたらあいつ、寝ているあたしの胸つんつんしたんだよ!? マジありえなくない!?そこは『ぎゅっと優しく抱きしめてあげた。』一択っしょ! ぜんっぜん妹心が分かってない! …………べ、別にあたしが抱きしめて欲しかったわけじゃないケド、 あれだけやらせたエロゲーは一体なんだったの!?って話。 とゆーことで、あたしはしばらく『お布団デート』をしてあげないことに決めたのだった。少しは反省しろっての! そんなワケであたしと京介の新婚生活……もとい新生活、色気もいちゃラブもない、ごく平凡な日常を語るね。 それは例の『お布団デート』から数日たったある朝のこと―――。 あたしの名前は高坂桐乃。自分で言うのもなんだけど、 「妹」という肩書きを持つ超絶美少女中学生。 朝。あたしはまどろみの中からゆっくりと目覚めていくところだった。 「……ん……ん……」 ぼやけた頭で、いつもと違う、と感じた。 春にはまだ早い季節―――あたしの部屋にエアコンはあるけど、寝る前には消してしまうので、 毎朝あたしは決まって『う~~~さむっ』と目を覚ます。 の、だけど……。今朝は『ん……?なんかあったかい……』という感覚と、何かに触れられたような感触で目を覚ました。 少しずつ頭のもやが晴れていき、そしてあたしはまぶたを開く――― ―――と。 「――え?」 目の前で、京介がすやすや寝息を立てていた。 「すぅ……すぅ……」 「……な……!?きょ、京介!?」 突然の出来事に身体が動かない……。てゆーか……顔……近い…………。 かろうじて腕は動くようなので自分の頬をつねってみるも―――夢じゃない。 現実だ。 あたしの隣で、京介が寝てる!しかもあたしが腕枕されてる!? ずっと前―――そう、あたしがまだ小学生だった頃、よく京介がしてくれた、 あたしが大好きだったお兄ちゃんの腕枕…………なんて事をふと思い出す……。 あの時あたしは決まってお兄ちゃんに――― 1.『ぎゅっと優しく抱きついた。』 「却下っ!」 ムリムリムリムリ!中学生の妹が、高校生の兄の寝込みに抱きつくとか、狂気の沙汰でしょ……! エロゲーのヒロインの娘たちは、当たり前のようにお兄ちゃんに抱きついていたケド、 実際自分がするとなると、とても勇気のいる行動だった……。 いまにして思えば小学生とはいえ、あの頃の無邪気なあたしSUGEEEEEEEE!と称賛の拍手を送りたい。 …………それは置いといて。 今あたしが置かれている状況を理解すべく、名残惜しさを振り払い、ようやく身体を起こす。 そこには京介がいた。仰向けになり腕があたしの方へ伸びている。 やはり腕枕をされていたようだ。 とりあえずここであたしが選べる他の選択肢は………… 2.『起こしてしまわぬよう、そっとベッドを抜け出した。』 「ふむ……」 無難な選択ではあるけど、そもそもあたしのベッドなのに、なんであたしが気を使わなきゃなんないワケ?! 3.『問答無用で布団から蹴り出した。』 ……まあ、現実的にはこれだよね……。 分かってるっての!これしかないって。……でも……なんかモヤモヤすんだよね……こいつの顔見てると。 意外とかわいい寝顔かもだし……なんか……いい匂いもするし……。 ……やば……ドキドキしてきた……。 「……………………」 1.『ぎゅっと優しく抱きついた。』 1.『ぎゅっと優しく抱きついた。』 1.『ぎゅっと優しく抱きついた。』 「あ、あああああたしってば何考えてんの……?!」 違う!違うし!……う~~~、世界の外側からあたしを操ろうとしてるヤツがいる……ッ! もちろんそんなワケないんだけど、感覚としては似たようなもんかな。 まるで『エロゲ主人公が選んだ選択肢によって行動を変えるエロゲヒロイン』のごとく、 自分の意志とは裏腹に、身体が勝手に動いてしまう。 あたしは再び京介に目を落とし――― …………てゆーかさっきから気になってたんだケド……、京介の……………………なんか膨らんでない? ……そういえば聞いた事がある……。健康な十代の男子が毎朝寝起きに……元気になってしまうっていう……アレ……。 こ、これが噂の――― 4.『ちょんと優しく触ってみた。』 「ぎゃーっ!」 がばぁっ! 「お、おおおおおまえ、どどどどどこ触ってんだよっ!」 「きゃああああああ!ちょ、あんた……お、起きてんじゃん!」 驚きすぎて死ぬかと思ったっての!いきなりパッチリ目、開けて飛び起きちゃってさ! 双方慌てふためきながら口を動かす。 「さてはタヌキ寝入り!?」 「違う!おまえがデカい声出すから起きちまったんだろ!」 「その時点でさっさと目、開ければよかったっしょ!」 そしたらこんな事故は起きなかったはずだし! 「うっせ!つーか話そらそうとすんなっ!いまっ……おまえ、おおお、おまえ―――」 京介はまるでダンゴムシのように、身体を丸めてアソコをかくす。 「俺の…………あ、アソコさわろうとしただろ!」 なんて人聞きの悪い。 「して……ないケド?」 「ちゃんとこっち見て答えろ。さわろうとしたよな?てかさわったよな?」 ……そんなカッコでこっち見ろって言われてもねぇ……。 「してないし。さわってないし」 きっぱり。 「は?さわったろ?」 「さわってないっての。しつこいなあ……ちょっとズボンつついただけでしょ?」 「完っ全にアソコの位置だったけど!?この―――エッチ!変態!」 起きた瞬間ネチネチネチネチ女々しいっての! てゆーかなんであたしがここまで言われなくちゃなんないワケ? そもそも勝手にあたしのベッドに入ってきたのはそっちでしょ?! いい加減ムカついてきたあたしだったけど、今のやり取りの中で気がついた重大な事実を追及することにした。 「そういえばあんた起きてたってことは……いわゆる……その……生理現象でおっきくしてたわけじゃないんだよね?」 「……………………」 「とゆーことは……別の意味で……おっきくしてたってこと?」 京介はダンゴムシのまま向こうに転がり、目を逸らした。 「~~~~!マジサイアク!ヘンタイ!つーか死ね!妹に欲情するとかマジキモい!」 「彼女に欲情してなにが悪い!」 血液がフットーしそうなくらい全身が熱くなっていくのを感じる。 「開き直ってとんでもないこと口走ってるのわかってる?」 「好きな娘のおっぱい触って反応しないほうがよっぽどおかしいだろ!」 やっぱり!さっき寝起きの時の触れられたような感触って………… 「あたしのおっぱい触って……おっきくしたってこと……?」 「…………ああ、……そうだ……」 「ほ、ほう……へぇ~……」 「……なんだよ、怒ってないのか?」 「怒ってるに決まってんでしょ!つまりあんたは妹が寝静まったあと、 妹の部屋に忍び込んで無防備な妹のおっぱいを触りにきたってことでしょ!?」 「違う!断じて違う!俺はおっぱいを触りにきたわけじゃねえ!」 「でも触ったじゃん」 「それは……そうだけど…………なんつーか、魔がさしたっていうか……」 「……じゃあさ、あんたはなんであたしのベッドで寝てたの?」 「……………………なんだっていいだろ」 いまだダンゴムシの京介は向こうを向いたままぼそっと呟く。 「目をそらさないでちゃんとこっち見て答えて」 京介は「しかたねえ」という感じでゆっくり首だけをひねり、ちらっとこっちを見て 「……俺が腕枕してやったら、おまえ、どうするかなって……」 「…………………」 やば……超恥ずかしくなってきた。 あたしが黙っていると、京介も恥ずかしいのか、また首を向こうに戻し、慌てて言葉を続ける。 「昔……おまえ、俺が腕枕してやると嬉しそうにしてたろ?だから……今でも喜んでくれるかなって思って、さ」 「…………ふうん」 覚えててくれてたんだ……。あたしが京介の腕枕……好きだったってこと。 刹那、あたしは何か見えない力に動かされ、京介の背中に――― 1.『ぎゅっと優しく抱き着いた』 「き、桐……乃……?」 「…………あんた、本当は……こうして欲しかったんでしょ?」 「どうして……それを……」 「あたしが気づいてないとでも思ってた?あんた昔、あたしに腕枕したあと、ちょ~期待した目であたしのこと見てたじゃん。 たまにぎゅっとしてあげない時は、すっごい悲しそうな目でこっち見てたし? ぷぷっwシスコン超キモーいwww」 「……………………」 あちゃ~……、ちょっとやり過ぎちゃったかな……。……んもー、しかたないなぁ……。 「ま、まあ、せっかく付き合い始めたんだし?気が向いたらまた『お布団デート』してあげるからさ!」 「…………桐乃」 「ただし!また無断で胸つんつんしたら許さないかんね!」 とまあ最近のあたしたちは、毎日こんな感じ。 ね。ちっともいちゃいちゃしてなかったっしょ? ~終~
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645 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/06/03(金) 00 38 36.13 ID brNQ0egK0 【SS】「俺妹ラジオ」プロローグ風(ゲスト 高坂京介) チャーンチャーンチャンチャンチャッチャ 桐乃 「ラジオを聞いているみなさん~こんにちは。高坂桐乃ですっ。 えっと、今日は黒にゃんお休みです。なんでも、下の妹ちゃんが熱出しちゃったんだって。 心配だからちょっと電話してみるね。」 トゥルルルルルルルル……ピッ 黒猫 『…もしもし。何の用かしら?今日はお休みすると言っておいた筈だけれど……。』 桐乃 「うん、珠希ちゃんが心配でさ、具合どうかなって思って。」 黒猫 『今、ちょうど眠ったところよ。 咳も落ち着いてきたし心配いらないわ。』 桐乃 「ほんと?よかったね~。収録終わったら、お見舞いに行くね。」 黒猫 『ありがたいけれど、遠慮しておくわ。あなたに風邪がうつったら困るし……。 妹の風邪が治ったらまた先輩と遊びに来て頂戴。日向も珠希も喜ぶと思うわ。』 桐乃 「うん。わかった。じゃ珠希ちゃんお大事にね。」 黒猫 『あ、ありがとう……。今日はよろしくお願いするわね。』 桐乃 「はいはい。任せておいてよね。じゃあね~。」ピッ 桐乃 「とゆーワケで今日はあたし一人で進行するから、よろしくねっ!」 京介 「おいコラちょっと待て!俺のこと忘れてんじゃねーよ!」 桐乃 「なんだ、あんたいたんだ。」 京介 「『いたんだ。』じゃねえ!おまえがいきなり呼び出したんじゃねーか!」 桐乃 「そだっけ?ま、いーや。とりあえず時間ないから早く自己紹介して。」 京介 「お…おう……。ど、ども。こ、高坂京介です……。」 桐乃 「なにドモっちゃって。緊張でもしてんの?そんなんでプロローグトークが務まるとでも思ってるワケ?」 京介 「…そもそも俺はなんで呼ばれたか聞いていないんだが……。」 桐乃 「しょうがないな~。頭の弱いあんたにもわかるように説明してあげる。 今日は『俺の妹がラジオでもこんなに可愛いわけがない。』の収録なのね。 で、このラジオはあたしと黒猫の声優さんの竹達彩奈さんと花澤香菜さんがトークするって番組なんだけど、 そのプロローグの三分間をあたしと黒いのが任されてるんだ~。 でも、今日黒いのお休みだから暇そうなあんたを呼んだってワケ。 たかが三分間って言っても、 おもしろトークで場を盛り上げて本編に繋ぐ責任重大な仕事なんだから、しっかりやってよね。」 京介 「お…ぉぅ……。おもしろトークか……。俺…自信ねーよ……。」 桐乃 「そんなことだろうと思って、今日はあた…リスナーさんが考えたお題にあたし達が答えるって形式にしたから。 それならできるっしょ?」 京介 「まぁ…頑張ってみるわ……。」 桐乃 「じゃあ早速お便りを読んでいくね。ラジオネーム、“とあるスレ住人”さんから。 『きりりんさん、京介さん、しすこんちわ~。』 しすこんちわ~。」 京介 「…………。」 桐乃 「『いつも京介さんのシスコンぶりを楽しく拝見させて頂いてます。』」 京介 「…………。」 桐乃 「『そこでお願いがあります。お二人が結婚して夫婦になってもらえないでしょうか?』」 京介 「ならねーよ!!大体なんだよいきなり人のことシスコン呼ばわりしやがって!!」 桐乃 「ちょっと、まだ続きあるんだから静かにして。」 京介 「ぐっ……。んで、続きは……?」 桐乃 「『“ごっこ”でも構いません。お二人が夫婦だったらどんなやり取りをするのか見てみたいです。』だって。」 京介 「しねーよ!!なんで妹と夫婦ごっこしなきゃなんねーんだよ!!」 桐乃 「……はぁ……。あんた、あたし達がなんでここに存在できてるか知らないワケ!? リスナーさん達がいて、アニメ見てくれてる人達がいて、原作読んでくれてる人達が、 アニメのBlu-ray買ってくれたり、原作の単行本を買ってくれたりしてくれるからこそじゃん! アニメ2期やるかどうかもその人達に掛かってるんだよ? リクエストに応えるのがあたし達の義務だと思うんですケド!」 京介 「うっ……。一理ある……のか?」 桐乃 「あるある!シチュエーションは考えてくれてるみたい。 『台詞はアドリブでお願いします』だって。とりあえずやってみよっか。」 京介 「…わかったよ…。やりゃーいいんだろ。」 桐乃 「じゃあ最初のシチュいくね。えっと…『起床』だってさ。」 京介 「は?それだけか?」 桐乃 「…みたい。とりあえず寝てるとこからだね。あんたそこで横になって寝たふりして。あたしも並んで寝るから。」 京介 「寝ねーよ!妹と並んで寝るとかありえねーだろ! つーか今日いきなり呼ばれた俺がここに来るってなんでこいつが知ってんだよ!?」 桐乃 「えっ……あ…、そ、それは……、最近あやせとか沙織とか地味子がゲストで呼ばれてたから、 あんたもそのうち呼ばれるかもって予想してたんじゃない? てゆーかあんた一々うっさいての!ここではあたしが先輩なんだから黙って言うこと聞いてればいいの!」 京介 「…へいへい。寝りゃーいいんだろ。……これでいいか?」 桐乃 「ちゃんと目閉じてよね……。じゃ……始めるから……。」 ちゅっ 京介 「な、な、な、なにすんだおまえ!!!!」 桐乃 「おはようのキスじゃん?」 京介 「お、お、お、おはようの……キス……って!兄妹で…き、キスとか普通しねーだろ!!!!」 桐乃 「だ~か~ら!あたし達は今、夫婦って設定なの! それにアメリカじゃ友達とか兄妹でキスの挨拶なんて当たり前だったっての! とにかく時間ないんだからサクサクいくよ!」 京介 「……ああ。」 桐乃 「じゃ続きから。『おはよ♪』」 京介 「『……お、おはよう……。』」 桐乃 「『ほら起きて。』」 京介 「『お、おう……。』」 桐乃 「『今日もいい天気みたい。カーテン開けるね。』」 京介 「『お、おう……。』」 桐乃 「『ん~眩しっ!やっぱりいい天気♪』」 京介 「『お、おう……。』」 桐乃 「……あんたさっきから『おう』しか言ってないじゃん!カーテン開けて眩しいってあたしが言ってんだから 『太陽よりおまえの方が眩しいよ。』とか言えないワケ!?」 京介 「あ、ああ……。じゃあ……『タイヨウヨリオマエノホウガマブシイヨ』」 桐乃 「はぁ!?全然気持ちが入ってないじゃん!!もっと真面目にやりなさいよね!!」 京介 「んなこと言ったってできるかよ!妹と『夫婦ごっこ』なんて。子供じゃあるまいし。」 桐乃 「あたしだって、あ…あんたと『夫婦ごっこ』なんて死ぬほどヤだけど、 やるからには中途半端はイヤなの!それがあたしのポリシーなんだから!」 京介 「わ、わかったよ……。」 桐乃 「じゃあ次。『京介出勤』だって。」 京介 「……あいよ。『じゃあ行ってくるから。』」 桐乃 「『あ、京介ネクタイ曲がってる。もう~しょうがないな~。』」 京介 「…………。」 桐乃 「『ん……、これでよし!じゃ、いってらっしゃい!』」 京介 「『……行ってきます。』」 桐乃 「『気をつけてね~。あ!京介ーーー!忘れ物ーーー!』」 京介 「『ん?なんだ?』」 ちゅっ 桐乃 「『いってらっしゃいのキス忘れてた♪』」 京介 「ま、ま、ま、また、おまえは!!」 桐乃 「だから流れ止めんなって言ってんの!あたしだって死ぬほどイヤなの我慢してるんだから、 いい加減あんたも腹くくりなさいよね!」 京介 「ぐぬぬ……。後悔しても知らねーからな……。」 桐乃 「じゃ次。『京介帰宅』ね。」 京介 「『たっだいま~。』」 桐乃 「『おかえりなさ~い。お仕事お疲れ様♪ご飯もできてるケド、お風呂も沸いてるよ。 ご飯にする?お風呂にする?それとも……あたし?』」 京介 「うぐぅ……。定番だけど…実際言われるとクルものがあるな……。 『ん~、お風呂でおまえっていうのはアリか……?』」 桐乃 「ぐぬぬ……。その選択肢はなかった……。あんたもなかなかやるじゃん。流石はエロゲーマーの鑑。」 京介 「おまえこそ、俺のエロゲ師匠なだけのことはあるな。」 桐乃 「じゃ次いくよ。『夕食』だって。」 京介 「了解。」 桐乃 「『冗談は置いといて、先にご飯にしよっ。今日は京介の大好きなカレーだよ!』」 京介 「『俺、カレー好きだけど、大好きってほどでもないんだけどな。』」 桐乃 「『え……そうなの?』」 京介 「『俺の大好きな食べ物は“桐乃が作ったカレー”だよ。』」 桐乃 「『……ば…ばか……。』」 京介 「『お、いい匂いするな!超腹へったよ俺。』」 桐乃 「『う、うん。すぐ支度するね!』」 京介 「『俺も手伝うよ。』」 桐乃 「『いいの!京介はお仕事で疲れてるんだから。ほら、とりあえず着替えてきなよ。』」 京介 「『あいよ。ありがとな。』」 桐乃・京介「「『『いただきま~す。』』」」 桐乃 「『……どう?』」 京介 「『すっ…………げー美味い!!』」 桐乃 「『ほんと?』」 京介 「『本当だって。おまえも食ってみろよ。ほら、あーんして。』」 桐乃 「な、な、な、何やらせんのよ!」 京介 「中途半端はイヤなんだろ?早くあーんしろって。」 桐乃 「わ、わかったわよ……。『あーん。』」 京介 「『な?美味いだろ?』」 桐乃 「『う…うん…美味しい……。ま、美味しくて当然でしょ。だって今日のカレーは、 5時間ずーーーーーーーーっと京介のこと考えながら煮込んだ愛情たっぷりのカレーなんだから♪』」 京介 「『そっか……。俺は桐乃と結婚できて凄い幸せ者だよな!』」 桐乃 「『…………あ…ありがと……。』 ……じゃ次。あ、次で最後みたい。……『夜の営み』……だって……。」 京介 「……つ、ついに来たか……。ええい!今更後に引けっか!いくぞ!」 桐乃 「うん……。じゃ……いくね……。 『あ、あのさ……知ってると思うケド……は、初めてだから……ちゃんと優しくしてよね……。』」 ブチっ 京介 「き、桐乃ぉぉぉおおお!!!!」 ぎゅうううぅぅぅうううっ 桐乃 「ふぇ?えっ?えっ!? 『い…痛いよ京介…………。ちゃんと……優しくしてって……言ったじゃん…………。』」 あやせ「……何をしているんですか?お兄さん?」 桐乃・京介「「えっ?」」 あやせ「桐乃にいかがわしい事をしたら、ブチ殺しますよって言っておいたはずですけど……。」 京介 「あ、あやせ!?これには深ーい訳があってだな……。」 あやせ「じゃあ桐乃に聞くね……。今、お兄さんと何をしていたの?」 桐乃 「へ?えっ?今?あ、兄貴と……え、エッチしようとしてたところで……。」 京介 「ば、バカヤロウ!!変な言い方すんじゃねえ!!!! ご、誤解だっ!!あやせ!! あやせ「問答無用!!死ねェェェェエエエエ!!!!」 ドカッ!!バキャ!!グチャ!! 京介 「ぐああああぁぁぁぁああああぁぁぁぁ…………。」 桐乃 「あ!兄貴!!」 あやせ「桐乃!大丈夫!?」 桐乃 「……あやせ?どうしてここに……?」 あやせ「そんなことはどうでもいいの。それより大丈夫?桐乃?」 桐乃 「う、うん……。大丈夫……。」 あやせ「よかった……。やっぱりお兄さんは変態だったんだね。 いつかまた桐乃にいかがわしい事をするんじゃないかと心配してたんだ……。」 桐乃 「そ、それなんだけど、今の誤解なんだ……。今日ラジオの収録を兄貴とやることになって…… このハガキのリクエストに応えてただけなの。」 あやせ「……桐乃……。そのハガキ見せて。」 桐乃 「だ、ダメ!」 あやせ「き、り、の?」 桐乃 「は、はい!」 あやせ「…………また……あそこの住人は……。ブチ殺されたいみたいですね……。」 桐乃 「あの……あやせ?……もう収録時間、かなり過ぎちゃってて……。」 あやせ「そうだね。一旦しめようか。 それでは皆さんごきげんよう。 …さ…よ…う…な…ら…。」 ~終~ -------------
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961 名前:【SS】深夜のラーメン:2012/08/13(月) 23 11 36.24 ID s12F3+Lh0 ※編集者追記:ページ下部にPDF版有り 深夜のラーメン シズクちゃんかわいいよぉシズクちゃーん! 萌えーっ! 萌え萌えーっ!! なにこの神ゲー! あたしを萌え殺す気!? 必死に声を抑えつつ、モニターの中の妹に萌え狂う。 説明しよう。 今あたしがいるのは、自分の部屋。目の前に鎮座ましますのはこのパソコン。 そしてモニターに映し出されているのは、今にも二次元から飛び出してきそうなくらい(ホントに飛び出してきたら即座に捕まえてぺろぺろしちゃう!)、 その魅力的な姿、仕草、声、その他諸々を画面のこちら側にいるあたしに振り撒く理想的な妹達。 つまり、エロゲーをプレイ中なのです。 この趣味に走り出した頃はまだ羞恥心が若干あり、いまいち画面に集中しきれないこともあったが、そんなものはもはや微塵もない。 この部屋、このモニターがあたしの世界の全てなのだ。幸いなことに、あたしの部屋には鍵が付いている。 クラスのアイドルで売れっ子読モで陸上部のエースたる高坂桐乃が、部屋でひとり萌え狂っていても、誰にも見られる心配はない。 オッケー全力で狂おう! かわいいよー妹かわいいよー!! なんであたしの妹達はこんなにかわいいのー!!! ひとしきりシズクちゃんを愛で、伸びをする。さすがに肩が重い。 賢者状態のあたしの目に、時計が飛び込んできた。針は午前二時半を指している。ちなみに今は金曜日の夜だ。いや、もう土曜日か。 でもまだ金曜日だと思っておいた方がなんとなく得だよね。そう、今は金曜日の二十六時半。そう、これでいい。 そんな下らないことを考えていたら、ぐぅ、とお腹が鳴った。 こんなのはいつものことだ。元々朝昼夜の食事はあまり摂らない。間食も殆どしない。 だけどこの時は、何故かちょっとだけ何かが食べたい気分だった。いつもよりちょっとハッスルし過ぎたせいかもしれない。 ちょっとくらい、なんかつまんでもいいかな。そう思った。 階段を降りリビングの扉を開けた途端、食欲を刺激するいい匂いがふわっとあたしを包み込んだ。 リビングの電気は消えているが、台所の換気扇の黄色いライトだけは付いていて、どうやらそこが匂いの発生源のようだった。 仄かに漂う醤油と玉子の香り。ああ、お父さんが小腹でも空かせて夜食を作ってるのかな。まずいなあ、こんな時間まで起きてた言い訳を考えなきゃ。 ちょっと勉強に集中しすぎちゃっててさ。そう言おうと思って、ぐつぐつという心地良い音の発生源に首をめぐらせ――兄貴と目が合った。 かぁっと顔が熱くなる。 どうしよう。兄貴と見つめ合うなんて何年振りだろう。こいつ、こんなに濁った目してたっけ。 いやそれよりも。もしかしたら、あたしが鍋の中のソレを物欲しそうに見ていたのを目撃されていたかもしれない。 うわ。うわー! どうしよう、兄貴の夜食を奪う妹みたいに思われたら! あたしそんな食い意地張ってないし! そう、たまたま目が合っただけ。ちょっと喉が渇いて、何か飲もうと思ってリビングに降りたら、兄貴がラーメンを作っていたっていうだけ。 何作ってるんだろう? って見るくらいなら全然不自然じゃないよね。うん、大丈夫。 ラーメンになんか興味ありませんよ、のオーラを全身から発散させつつ、あたしは努めて冷静に兄貴から目を逸らし、ずかずかと冷蔵庫に近づいていった。 麦茶か何かを一口飲んでさっさと退散しよう。 きっと兄貴も「さっさと出てけよウゼー妹」とか思ってるんだろう。そうに決まってる。 コップにどぼどぼと麦茶を注いでいると、不意に何か声を聞いた。 あたしは最初それが自分に向けて発せられたとは思っておらず、頭の中で言葉が意味を形成しないまま、麦茶をごくりと一口飲んだ。 そして気付いた。今、このリビングにはあたしと兄貴しかいない。ということは、今の声は。 ばっと兄貴を振り向く。 そこには相変わらず濁った目の、しかしやわらかな表情の、京介がいた。 数分後、換気扇の黄色いライトだけに照らされた薄暗いリビングで、テーブルを挟み、無言でラーメンをすする兄妹がいた。 あたしは小さなどんぶりで。 兄貴は鍋から直接。 いや。いやいやいや。これおかしい。 今何時ですか。午前二時半過ぎです。こんな時間に、親の目を盗んで一緒にラーメン食べる仲のいい兄妹がいますか。いや、そりゃ世界中探せば何組かはいるでしょう。 しかし、あたしたちは仲が悪い兄妹なのだ。会話なんて、もう何年も交わしていない。そのあたしたちが、今こうしてテーブルを挟んで、ずるずると麺をすすっている。 兄貴が、何を考えているのか判らない。 ちょっとお腹が空いていて、そしてあまりにもそのラーメンが美味しそうだったから。 そして、兄貴がとても優しそうだったから。 だから、「ラーメン、食うか?」という言葉を認識した時、普段のあたしなら「は?」とかなんとか、すごく冷たい態度を取ってしまうところを、つい頷いてしまった。 ちらりと上目使いで兄貴を見るが、あたしには目もくれず、黙って食べていた。 だからあたしも、黙って麺を口に運ぶ。 味なんて、わからなかった。 兄貴がリビングを出て行ってしまってからも、あたしは一人椅子に座り、からっぽのどんぶりを眺めていた。 お腹は満たされたのに、何かが満たされなかった。 京介のふわっとしたあの優しい表情は、本当に久し振りに見た。そしてそれは、今の大嫌いな兄貴と京介が同一人物であることの何よりの証明だ。 ぱたりと、涙が一粒落ちる。 もう二度と、あの日々が帰ってくることはない。京介もあたしも、仲が悪いまま、こんなにも成長してしまった。そして、これからも、おそらく。 お互いに歩み寄る余地はたくさんあったはずだ。それらを悉く、どんなに些細なことであっても兄妹ふたりして、徹底的に壊し続けてきた。 でも。 味はわからなかったけれど、一緒にラーメンを啜っていた時のリビングの空気は、決して息詰まるものではなかった。 むしろ、ずっと仲が悪かった兄妹が、なぜか二人して無言でラーメンを啜っているという状況がなんだかちょっとおかしくて。 そしてとても嬉しくて、身体の芯から溢れ出る笑みを抑えるのに必死だった。 これからも、深夜のエロゲーに疲れたら、時々リビングに下りてみようと思う。 もしまた同じような機会があったら、今度はしっかり味わってやろう。 そして、今日言えなかった「ごちそうさま」の一言を、あいつに言ってやらなきゃいけない。 それは本当に、あたしにとってのごちそうだったから。 Fin オリジナルファイル
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378 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/05/18(水) 02 07 29.86 ID jCOjyO1l0 [1/9] レスSS320-322『7巻終わり~8巻序盤:桐乃視点』 「兄貴の義務を果たしてんだよ」 あたしの頭の中に、何度も何度も、あいつの声がこだまする。 あいつは、あたしに彼氏が出来た事を嫌がってくれた。 あたしが彼氏を作る事を、本心から嫌がってくれた……… 前に言ってくれた、あたしが居ないと寂しいって。 あたしを兄貴が必要としてくれてる………その事はとっても嬉しい。 でもそれは、『あたし』の事が必要だからじゃない。 あいつはあたしの兄貴だから……… 兄貴なら、そうするのが当たり前だから……… あたしが、兄貴の『妹』だから……… 御鏡さんが帰った後、あたしは黒いのに電話をかけた。 「この前は………打ち上げのときはごめん」 「ええ、あんなふざけた事はこれっきりにして欲しいわね。 沙織から聞いたわ。偽彼氏ですって?」 いちいちムカツク喋り方だ。 だけど、今回の件に限っては、あたしが何かを言う資格はない。 「うん。もう、そうする必要もないから」 「そう?それで、その彼氏を連れてきてどうしたのかしら?」 「あのね、あたしが偽の彼氏を連れてたら――― あいつね、『おまえには桐乃はやらん』なんて言っちゃってんの!」 そう。兄貴はそう言ってくれた……… 「そ、そうなの?い、妹の彼氏にそこまで言ったのね」 「マジキモイっ!ほんっとシスコンだよねー、あいつ」 「でも、そもそも何故、偽彼氏なんて連れてきたのかしら?」 「………………………………」 痛い質問だった。 でも、事の真相は、いくらこいつでも教えるわけにはいかない。 「あたしさ、あいつと仲が悪かったってのは教えた事あるでしょ?」 「私の目にはずっと仲が良さそうに見えるわね」 「ちゃんと聞いてよ」 「わかったわ」 「アンタの目にはそう見えたかもしれないけど、アンタに出会う直前までさ、 あたし達、喋ることも殆ど無かったんだよね」 あの頃を思い出し、あたしの胸は締め付けられる。 あんな気持ち、もう二度と味わいたくはない。 「意外だわ」 「本当は、今でも、普段は……… あんた達が遊びに来てない日は、兄貴と全然喋る機会もないしね」 「そう………」 「だからね、兄貴ともっとお話したかった、 兄貴にもっとあたしの事見ていて欲しかった……… それが、あたしがバカな事をしてしまった理由」 「………分かったわ」 とりあえず、納得はしてくれたようだ。 「それじゃあ、二つ、質問があるわ」 「何よ?」 「まず一つ目は、先日の偽デートの件。 本当に美咲さんは付いてきていたのかしら?」 「………………………………」 この質問は、あまりにも予想外だった。 こいつの鋭さを少しなめてかかっていた。 「そう、居なかったのね」 「………………………………」 「まあ、いいわ。お兄さんと一緒に居たかっただけだと一応納得しておくわ」 「ふんっ!」 だって、どうしようもないじゃん。 今さら、嘘をついたって……… 「それじゃあ、二つ目の質問」 突然、こいつの口調が変わる。 さっきまでの問い詰めるような口調ではなく、 何かもっと必死な感じに……… 「今度は何よ」 「もし、あなたのお兄さんの事がとても好きな女の子が居て、 その娘があなたのお兄さんに告白したら、あなたはどうするつもり?」 「はっ、バカじゃん?あいつの事好きになるような女、地味子しか居ないって」 そう、そのはず。でも、何、この嫌な感触。 あいつの事を好きな女が居るってだけで、こんなに気分が悪いの? ………ううん、違う、さっきのこいつの口調、明らかに誰か特定の人物を指している。 「答えて。あなたはどうするつもりなの?」 「………………………」 まさか………でも、よく考えれば、それしか考えられない。 こいつが兄貴に好意くらいのものを持ってるとは思ってたけど……… こんなに必死に食い下がるくらい、あいつのこと好きだったなんて……… 「あんた………あいつのこと………………………好きなの?」 「ええ、そうよ」 目の前が真っ暗になった。 あたしは、またあいつを失うのだろうか? せっかくあいつと仲良くなろうと思ったのに。 ………あいつの事………好きになってしまったのに……… 「私は、先輩の事が大好きよ。 私の代わりに怒りをぶつけてくれて、私が拒絶しても私にまとわりついてきて、 こんなダメな私の事にも、必死に取り組んでくれる先輩の事が」 黒猫の言葉からは、あいつの事を本気で好きだと言う感情が次々に溢れてくる。 あたしがあいつの事を好きなのに負けないくらい……………………… こいつ、本当はとっても臆病なのに、優しいのに……………………… あたしは、あいつをとられたくない………でもっ、でもっ! 「いいよ」 「えっ?」 「いいって言ってんのよ。あんたあいつの事好きなんでしょ?とっても」 「ええ、そうよ」 「それなら、あたしはあんたの事応援する」 「あなた、自分が何を言ってるのか分かってるのかしら?」 分かってる。分かってるよ。 あたしの感情は、あたしの理性を必死で否定してる。でも……… そう。兄貴だったら、こう、答えるはずだもの……… 「分かってる。あたしはあいつの妹だから。あいつが喜んでいる姿を見たい。ただそれだけ」 「本当に、良いのね?」 「くどい。あんたはあたしの友達で、あいつはあたしの兄貴で……… 二人が幸せそうにしているのが一番じゃん」 「そう、分かったわ。近いうちに、私は先輩に告白するわね」 「………わかった。それじゃ、またね」 「ええ、それじゃあね」 電話を終え、あたしはふと自嘲気味に思う。 結局、バカな事ばかり繰り返した嘘つきの女の子には罰が与えられ、 正直ものの女の子には、それに見合った報酬が与えられるわけだ。 それに―――あたしは、あいつの『妹』だ――― そう思うと、高ぶった感情が一気に引いていくのがわかる。 あたしは、高坂桐乃ではなく、高坂京介の『妹』なんだ。 そう、思う事に、した……… 翌日、あたしは打ち上げパーティーのやり直しを前に、 リビングで雑誌を読みながらくつろいでいた。 部屋で読んでいるのでは………そう、兄貴に出会えないから……… ―――玄関から音が聞こえる。兄貴の帰ってきた音だ。 「ただいま」 「………ん」 そっけなく答える。 もう、あたしは『妹』なんだ。こいつの恋愛なんて、関係がないんだ……… でも、どうしても気になってしまう。 あたしは『妹』だから、こいつの恋愛になんて口は出せない。 ううん、違う。『妹』として、『妹』としてなら、口をだしても良いはず……… 「ねぇ」 「………な、なんだ?」 「どこ行ってたわけ?」 「学校、ちょっと用事があってさ」 「ふーん」 そっか、あいつに、呼び出されたの、かな? あたしは努めて表情を隠し、こいつに内心を読まれないようにする。 「―――あのさ」 「うん?」 「なんか、変わったこと、あった?」 「別になんにも」 「ふーん」 あいつ、まだ告白してないんだ? 近いうちに告白するって言ったのに? あたしの中の『桐乃』の部分が安堵している。 でも、『妹』なら、そんなことはない。 いい加減、あたしの中の感情に決着をつけないといけない。 『京介』が、『桐乃』を見てくれるかもしれないなんていう みっともなく、心にこびり付いた感情を……… 「よし、と」 あたしはソファに座りなおし、『兄貴』に声をかける。 「ねぇ」 「な、なんすか?」 「こっち来て」 兄貴は怪訝な顔をして近づいてくる………そうだ! あたしの考えが正しいのか、兄貴に答えさせてみよう。 そうすれば、兄貴の正直な気持ちも分かるはずだし……… あたしも本当に、納得できるはずだ……… あたしは兄貴に正座をさせ、昨日のことについて問い詰めることにした。 「あんたさ………あたしが連れてきた人が、 本当の彼氏だったら………どうしてたわけ?」 「それは………もちろん、同じようにしてたよ。 だって俺は、ネタばらしえおされるまでずっと、 あいつのことを本当の彼氏だと思ってたんだからさ」 うそ………それなら、あたし………で、でもっ! あたしは自分の揺れ動く感情を振り払うように、あいつに軽口を叩く。 「『男と付き合うのはやめてくれー』 『桐乃と付き合いたいなら、俺よりも桐乃を大切にすると認めさせてみろー』 って言ったってこと?」 「そ、そうだよ」 それならば、あたしは期待しても良いのだろうか? 『京介』が『桐乃』を見てくれる可能性を……… それを確かめたくて、あたしはもう一歩踏み込んだ質問をする。 「ふーん、じゃあ………そのあとは?もしも偽者の彼氏だっていうネタばらしがなくて、 御鏡さんがあたしのこと本当に好きで、ちゃんとあんたと向き合って、 説得してきたら………どうしてた?」 考えるだけでも心が切ない。 あたしの答えは正しかったの? あんたにとって、『桐乃』と『妹』はどっちが大事なの………? あたしは………………………どうしたら良いの………………………? 「それは………………………さーな、わかんねーよ」 「ちゃんと答えてよ」 ちゃんと、心から、答えてよぉ……… 「おまえに本当の彼氏ができたら―――」 「できたら?」 「たぶん………」 「たぶん?」 「………………泣く」 「………何それ?」 あまりにも予想外の答えだった。 あたしの中では、認めるか認めないかの二択しかなかったのに……… 「………二、三発殴って、ちゃんと話して、それで………大丈夫そうなヤツだったら……… おまえもそいつのこと好きなんだったら………もう、泣くしかないだろ。 イヤだけど、すげえイヤだけど………止めらんねーしさ」 「ふーん、そっか」 そうだ、こいつの語ってくれた、こいつの気持ち……… 今のあたしの気持ち、そのままなんだ……………………… あたしは、こいつがとられるのがイヤだ。 イヤでイヤでしょうがない……………………… でも、『妹』であるあたしは止められない。 こいつのこと、本当に好きな娘がいるんだから……… あたしは沈みきった気分を冗談で吹き飛ばすために、こう続けた。 ううん?『妹』なら、嬉しいハズじゃん。 必ず訪れる別れを、こんなにも悲しんでくれるんだから! 「あんたどんだけシスコンなわけぇ?キモすぎ!」 「なんとでも言え!」 「はいはい」 あたしは、『兄貴』に望まれる理想の『妹』として喋り続ける。 「でさー、あんたさー『妹を大切にする』んでしょ?」 「ぐあっ!」 『妹』は、兄貴の幸せを応援する。 決して兄貴の邪魔なんかしない。 それは、『妹』にとって『我慢ではありえない』 「あたしを大切にするってさー、具体的になにしてくれんの?」 「なにって………」 「もしかして考えてなかったわけ?あんな威勢良く言ったくせに?」 「………………………」 そう、これも、全部兄貴のため。 兄貴が、兄貴の事を想ってくれている、可愛くて健気な女の子と結ばれるため……… こいつが困ったとき言うセリフなんて、簡単に予想ができる。 「じゃあ………この前の侘びも兼ねて、なんでも頼みを聞いてやるよ。一つだけ」 「マジで?なんでもいいの?」 「俺にできることならな」 「じゃあねー、んーと」 考えるまでもない。言うべき事は決まってる。 ………そう。考える必要なんて………ないじゃない! 「もしも近いうちに、『あんたが大切にしてる女の子』から告白されたら、 ちゃんと………真剣に考えてあげて」 それなのに、どうして『あんたが大切にしてる女の子』なんて言ったの? どうして………『黒猫』って言えないの………? 「その子………ほんとにあんたのこと、好きだからさ」 どうして………あたしはあんたのこと、好きなの………? End. -------------
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79 名前:【SS】おかえし 1/3[sage] 投稿日:2012/02/14(火) 20 37 17.14 ID fW7ipnxG0 [3/5] 最近京介の帰りが遅い。 理由はわかっている。 学校や予備校で連日模擬試験を行ってるからだ。 もうすでにいくつかの大学は受かってるんあけど、本命を前にラストスパートしてるらしい。 もちろん試験をしてない日もあるんだけど、そういう日も図書館に篭りっぱなしだ。 集中したいからだって言ってたけど―たぶん原因はあたしだろう。 あたしがちょくちょくあいつの部屋に遊びに行っているせいだ。 別にあたしは勉強の邪魔をしてるわけじゃないし、あいつの成績が落ちたという話も聞かないんだけど、 もしあいつが志望校に受からなかった時、あたしがあいつと遊んでいたからだという理由を作りたくないんだろう。 誰でもない―あたしのために。 「それはわかるよ? でもさ、今日くらい早く帰ってきてもいいじゃん」 あたしは頬杖を付きながら独り言ちる。 そんなあたしの前には、綺麗にラッピングされた箱が置いてある。 中身については……今日がバレンタインデーであることを考えればすぐにわかるだろう。 別にあたしは京介のことなんかどうとも思っていないけど、 最近のあいつは疲れ気味だから甘いものでも食べて疲れを取ったほうがいいだろうと思って、あやせと一緒に作ったのだ。 うん。それだけ。 別に他意はない。 本当だよ? 去年作った大人な風味漂うビターチョコとは違って、今年のは疲れが吹き飛ぶように特別甘く作った生チョコ。 味については自信がある。 なんたって一緒に作ったあやせが 「舌と味覚が蕩けて天国に上っちゃいそう」 と評して二つを残して全部つまみ食いしちゃったし、 さっき食後のデザートに食べたお父さんは、いつもの渋面のままだけど、 「俺の味覚が壊れるほどすごかった。 これほどのものが作れるとは、流石だな、桐乃。 おそらく一月は口の中に甘さが残ったままだろう」 と褒めてくれた。 きっと、京介の疲れも一気に吹き飛ぶに違いない。 「だからさ、早く帰ってこないかなー」 今日の夕食の時も京介は帰ってこなかった。 夕食に帰ってこないとなると、おそらく帰ってくるのは九時以降になるだろう。 別に一日二日で味が落ちるわけでもないし、早く渡す必要はないんだけど、 せっかく作ったんだし、時間がたちすぎて忘れちゃうのも困るし、 ずっとそわそわ待ってるのは時間の無駄だし、今後の予定もあるから早く渡したいんだけど…… ……まあ、少しくらいは京介の喜ぶ顔が早く見たいってのもあるかな? ほんの、ちょっとだけど。 「ふわぁ」 何もせずにただただチョコを見続けてると、なんだか眠くなってきた。 ご飯食べたからかな。 最近結構夜更かししてたし、今日一日中ずっと緊張しっぱなしだったのも原因かもしれない。 「……どうせ、あと一時間は帰ってこないよね」 京介が帰ってきてこれを渡したら、感激したあいつが夜遅くまであたしに構って来ちゃうだろうし、 今のうちに少しだけ寝ておいたほうがいいかな。 あたしは腕を崩すと、そこに顔を埋める。 まぶたを閉じる前に、最後に一度だけ『京介へ』というメッセージプレートが付けられたハート型のチョコを見つめる。 ちょっとだけ寝て……起きたら……これをあいつに…… 80 名前:【SS】おかえし 2/3[sage] 投稿日:2012/02/14(火) 20 37 48.80 ID fW7ipnxG0 [4/5] 『おにいちゃん、そのチョコなにー?』 『これか? これはバレンタインチョコだ』 『バレンタインー?』 『そう。 女の人が好きな男の人にチョコをプレゼントするんだぞ』 『……おにいちゃん、だれかこいびとができたの? そのひとのこと、きりのよりすきなの?』 『ちがうよ。 これはお母さんにもらったんだ』 『おかあさんから? ずるいーおにいちゃんだけー! おかあさん、きりのにもチョコちょうだい!』 『ごめんね、桐乃。 お兄ちゃんにあげた分でもうチョコないのよ』 『えー』 『……ほらよ』 『え? おにいちゃん、きりのにチョコくれるの?』 『ああ。 しかも桐乃が好きなハート型のヤツだぞ』 『わーい! おにいちゃんだいすきー! おにいちゃんからチョコもらったー! きりの、これでおにいちゃんのこいびとだー!』 『あらあら。 良かったわね、桐乃』 「ん……」 体と胸の中に気持ちの良い温かさを感じて目が覚めた。 なんか、昔の夢を見てた気がする。 ところで、今何時だろう。 「げっ、二時間も眠っちゃったじゃん」 もう京介は帰ってきてるのかな? そう考えてすぐ側においておいたチョコに目を向けると― チョコが一回り小さくなっていた。 「は?」 思わず素っ頓狂な声が口から漏れる。 なんで京介にあげるはずの大切なチョコが小さくなってんの!? チョコって時間がたつと揮発したっけ? それともあたしの愛が小さくなっちゃったの!? 「……って、これ違うチョコじゃん!」 ほとんど同じ形、同じラッピングだから勘違いしちゃったけど、良く見ればそれはあたしが用意したチョコとは全然違っていた。 「でも、それだとあたしのチョコはどこ行ったんだろう?」 疑問に思ってそのチョコをひょいと持ち上げたところで、その下にあるメモ用紙に気がついた。 「なにこれ?」 そのメモ帳はぱっと見何も書かれていないが、どうやら裏面に書いてあるだけのようだ。 あたしはそのメモ帳を手に取ると、裏返して読み始めた。 「えっと……」 81 名前:【SS】おかえし 3/3[sage] 投稿日:2012/02/14(火) 20 38 12.79 ID fW7ipnxG0 [5/5] 『腹が減ってたからチョコもらったぞ。 今まで食ったチョコを全て合わせたよりも甘くて美味かったぜ!』 それだけ。 あたしが京介のためにチョコを用意したことや、代わりに置かれていたこのチョコがなんなのかについては何も書かれていない。 「……まったく、あたしにお礼の一言もないとかマジありえないんだけど」 そう口にはするけれど、口元がニヤけいるのが自分でもわかる。 お礼はなく、代わりにチョコが置いてあった。 だからきっと、そういうことなんだろう。 このチョコを見ればわかる。 あたしも京介も、心は同じなんだ。 ……だからきっと、そういうことなんだろう。 「あたしのと比べて、安っぽいチョコだよね」 あたしは丁寧に包みをはがすと、チョコを一口だけ口に含んだ。 とても甘くて、どこか懐かしい味がした。 「う~ん、悔しいけど、これはあたしの負けかも」 あたしの手作りチョコが市販のチョコに負ける筈はないけど― 「このコート、京介のだよね」 あたしは、いつの間にか肩にかけられていたコートに手を伸ばした。 あたしに羽織らせる直前まで着ていたのか、仄かに温かい。 このコート、京介が羽織っているのをよく見かけるし、京介の匂いがするし、京介みたいに暖かいし…… 「つまり、帰ってきてコートも脱がないままあたしに会いに来てくれたんだよね」 妹からのチョコが欲しくてコートも脱がずに一目散に会いに来るなんて、あいつってばどんだけシスコンなんだろ。 チョコ自体はあたしの勝ちだけど、このコートとそのシスコンぶりに免じてここはあたしの負けということにしておいてあげる。 あたしは京介のコートを羽織りなおすと、もう一口チョコを齧りながら、京介の部屋の方を見る。 あたしの予定ではチョコをもらって照れてる京介をからかったり、甘えてくる京介に受験後のデートの約束を取り付けたりするつもりだっ たけど、 今のあたしだと恥ずかしくてそんなことはできないだろう。 きっと京介もそうだ。 だから、今日はこれでおしまい。 でも― 「ホワイトデーの三倍返しは覚悟しててよね。 今度は絶対に勝ってやるんだから♪」 やられたらやり返す。 例え負けても次には絶対に勝つ。 それがあたし、高坂桐乃なのだから。 あたしは京介の驚く顔を想像しながら、チョコの甘さに顔を綻ばせた -------------
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181 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/16(金) 00 58 21.18 ID cmEYAw5/0 [1/5] SS『過ちのダークエンジェル~前日譚~』 俺の手の中には2枚のチケット。 今週の日曜に行われるメルフェス(ほしくずうぃっちメルルのイベントの事さ)のモノだ。 加奈子から、あやせ経由で送りつけられてきたチケットなんだが・・・ いや、本当は俺が頼み込んで2枚も送って貰ったんだ。 だけど、今になってこのチケットを持て余しちまってる。 だってそうだろ? 俺は彼女と別れたばっかりだし、一緒にメルフェス見に行くような友人も居るわけが無い。 赤城のヤローなんか連れて行っても、ただのキモオタ二人としか見られねー。 あやせたんなんて、オタク的な趣味自体を嫌悪してやがる。 部長はメルル好きってわけじゃねー。 御鏡のヤローと一緒に行くなんて、俺の気分が悪い。 沙織は忙しい・・・多分。 麻奈実も、こんなもんに興味あるわけねー。 そう考えていくと、必然的に一人の人間が、俺の頭の中に残る事になる。 高坂桐乃。俺の妹だ。 桐乃は妹キャラ全般が大好きで、その中でもメルルは大のお気に入りだったハズだ。 以前、メルルのコスプレ大会で、王国民に混じって奇声を上げてたくれーだ、 たぶん、誘えば狂喜乱舞してくれるんじゃねーかと思ってる。 でもよぉ? 妹をデートに誘うって、はっきり言っておかしいだろ? 俺も、チケットを貰う段までは、桐乃の事しか考えてなかったから、 これがデートにあたるんじゃないか、なんて考えても見なかったんだけどよ? チケットを手に入れてからよくよく考えてみると、コレ、完全にデートじゃねーか! この夏の一件で、俺はとんでもねえシスコンだって、桐乃にバレちまったし、 桐乃だって超のつくブラコンだって事がわかっちまった。 でもよ?やっぱ、兄妹って、越えちゃいけねー一線ってもんが有るとおもわねーか? 結局、この日は丸一日悩んだけど、結論は出なかった。 頭を冷やすためにも、桐乃の部屋に行くとすっか・・・ 「桐乃ー?入るぞ?」 どうせ桐乃の事だ、返事をしねーことくらいわかってるから、そのまま部屋に入る。 俺の妹様は、俺が部屋に入った音も聞こえてるだろうに、 パソコンの画面にかじりついて離れようともしねえ。 ・・・つか、その画面にうつってるのは、なんのエロゲだよ? 妹が触手でエロエロな事になってんじゃねーか! 「おい、桐乃」 「あ、あんた、いたの?」 そして、これだぜ?これ? 俺の兄としての威厳なんぞ、どうでもいいってか? 「つかさー?最近、毎日あたしの部屋に入ってきてない?」 「そうか?」 「そうだって!」 「仮にそうだとして、何か問題あんのかよ?」 「も、問題って・・・!」 うーん。こいつは何を気にしてやがんだ? 「だってよ?俺たち兄妹だろ?」 「そ、そうだけど!」 「だったら、お互いの部屋に行き来したって、何も問題ねーだろ?」 「そ、そう・・・かな?」 そうだって。そうに決まってる。 だいたい、昔は同じ部屋で生活してたんだぜ?俺たちはよ。 「じゃ、じゃあ、京介がここに居る事は、許可してあげるから」 「おう!それじゃ、遠慮なく、ここに居させてもらうぜ!」 桐乃は、俺に興味を失ったかの様に、パソコンに向き直る。 ま、多少仲良くなったとは言え、俺と桐乃の仲はこの程度だよな。 それにしても、桐乃の部屋は気持ちがいい。 部屋中に漂う桐乃の匂いが鼻腔を満たして、なんだかたまらない気分になってくる。 それに、桐乃を好きなだけ間近で見ていられる。 少し丸っこいけど可愛らしい顔、発達途中なのに大きく張りのある胸、美しくくびれた腰、 揉みたくなるようなお尻、健康に色づいた引き締まった太もも、足だって桐乃だったらこんなにも綺麗だ・・・ ふと気がつくと、桐乃はパソコンのゲームも殆ど進めず、こちらに向き直っていた。 「きょ、京介。な、なんであたしの事ばっか見てんのよ?」 「ん?俺はシスコンなんだろ?妹の事ばかり見てて当然じゃねーか?」 「そ、そうだけどっ!ず、ずっと舐め回すように見てるとかっ!」 「おいおい。俺とおまえは兄妹だろ?兄妹だからずっと見てたって何も問題あるわけねーだろ?」 「そ、そうなんだっけ?」 まったくよ? さっきからおまえの言い分を聞いてると、まるで俺が変みたいじゃねーか。 兄妹だからコレくらい大丈夫だって、ちゃんと言ってんだろ? ・・・ん?兄妹だから・・・? そうか!その手があった! よく考えりゃあ、兄妹で一緒に出かけることをデートなんて言うわけがないんだよな! これで、メルフェスに堂々と桐乃を誘えるじゃねーか! 「桐乃」 「な、なに?」 さっきから、桐乃、妙に落ち着きがねーな・・・ でも、俺はただ桐乃を見てただけだしな。 気にせず誘ってみるか。 「おまえ、確かメルルの事大好きだったよな?」 「あ、あったりまえじゃん!あたしを誰だと思ってるワケ?」 やっぱな。メルルって言葉にこれくらい反応するって事は、幸先よくね? 「今度の日曜、メルフェスがあんのは知ってるよな?」 「そんなの当たり前じゃん!」 おっしゃーーーー!この感触!これならっ! 「あー、でも・・・」 「でも?なんだよ?」 「あたしさ、その日、実は仕事入ってんだよね」 「マジかよ・・・」 「マジ」 モデルの仕事・・・か。 アメリカから帰ってきてからやってないなと思ってたけど、いつの間にか復帰してたのか。 真面目なこいつの事だ、今からやめるって選択肢はあるわけねーよな・・・ でも、念のために聞いておくか。 「おまえ、メルルの事あんなに好きだったじゃねーかよ」 「今でも好きだって。本当に残念だもん。 新OPの披露とか、メルちゃんとあるちゃんのコスプレイベントとかもあるし」 「だったら・・・」 「でも、あたし、将来の事とか考え直すいい切っ掛けじゃないかって思ったんだ。 それに、他にもいくつか理由があるんだけど・・・」 そうか・・・そうだよな。 こいつだって、来年には高校生。そして四年後には大学生。 将来の事を真剣に考えてるこいつにとっては、『今はまだ』なんて言葉は存在しないんだよな。 でも、それじゃせっかくのチケットが・・・ もう一つだけ・・・確認してみっか。 「なあ、桐乃?その撮影っていつまでかかるんだ?」 「予定だと・・・お昼の2時かな?」 「それじゃ、全然余裕じゃねーか!」 「で、でもっ、撮影って結構長引く事あるからさ。 それで、イベントに間に合わないかもって焦ったりして、仕事に支障がでたらまずいでしょ。 だから、とりあえず、行かない事にしとく。撮影が終わってから、行くかどうか決める」 でも、それじゃ、チケットが売り切れちまってるだろ? 仕事に真面目なのは良いんだけどよ、そんなに根詰めたらまた潰れちまうぜ? 俺は一枚のチケットを取り出し、桐乃に手渡した。 「な、なによ、この紙・・・って、メルフェスのチケット!?」 「そうだ。俺が取り寄せてもらった」 「だ、ダメだっていったじゃん!撮影中に気になっちゃったりしたら!」 「大丈夫だ。おまえはちゃんと仕事を優先できる人間だよ」 それは、これまでの一年間でよく分かってる。 おまえは、やらなければならない事は絶対におろそかにしたりしないって。 「だ、だけどっ!」 「それに・・・」 俺はもう一枚のチケットを取り出した。 「おまえと一緒に、メルフェスに行きたいんだよ」 「・・・なっ!?」 おっと、兄貴のセリフとしちゃ、やりすぎたかな? 「とにかく、おまえは仕事に集中すればいい。そして、終わってから、まだ時間があれば・・・」 「・・・わかった。そしたら、メルフェスに行くね」 ほっと一息をつく。 やっと納得してくれたみてーだな。 なんか、とっても嬉しい気もするけどよ、これも兄妹だからだよな? 兄妹で一緒に居られる時間が増えるから、俺は嬉しいんだよな。 それに、桐乃もさっきまでと違って嬉しそうだ。 やっぱ、メルフェスに行けるのが楽しみなんだろうな。 「で、でもさっ・・・」 「ん?」 「なんだか、恥ずかしいね。あんたに誘われて・・・出かけるなんて。 なんか、デートみたいな気分・・・」 「そりゃ、兄妹だからこれくらいやって当然だろ?」 「そっ、そうだよねっ!」 そうだぜ、兄妹だから、これからはデートみたいな事もたくさんやっていかないとな。 デートみたいだけど、兄妹だからデートなわけがねーし、全く問題があるはずないしな! 「でも、もしかすると、もしかするとなんだけど・・・ やっぱり長引いて行けなくなるかもしれないんだよ?」 「ああ。ちゃんと覚悟してるさ。 それに、おまえの仕事の方が大事だってちゃんとわかってる」 「う、うん・・・」 おいおい、そんな寂しそうな顔すんなよ。 まだ行けないって決まったわけじゃねーし、それに予定なら4時間も余裕があるんだぜ? 普通に考えりゃ大丈夫に決まってんだろ? でも、俺はそうは言わず、少しおどけた口調でこう言った。 「ま、もし、本当に長引いてしまったらな~」 「そうしたら?」 「撮影場所まで、おまえをさらいに行ってやるぜっ!」 「ぷっ・・・あーキモいー!このシスコ~ンっ♪」 「ふっ!・・・悪いか?」 「ううん・・・悪くないよ」 End. -------------
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22 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/20(水) 23 14 57.05 ID kb22ykvB0 [1/2] ようつべで「デートde知多あるき」という知多半島を紹介する観光動画を見たが・・・ よくあるやつだけど、すごいなー 京介ときりりんで千葉県を紹介する観光動画を作ってもらいたい!前スレで旅してたやつみたいにw 名目は観光PRだが、きりりんの本心はデート気分でw 「ちょっと兄貴!観光PRなんだからねっ!デ、デートじゃないんだから!ち、知事さんに怒られるでしょ!」 もちろん他のキャラも登場させて千葉県を紹介してほしい! 47 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/21(木) 09 14 17.23 ID dfUfOCXQ0 [1/3] 22 遅レスだがこんなかんじか? 銚子で濡れせんべいを食べる→屏風ヶ浦→銚子→香取の佐原で古い町並みと水生植物園を堪能→ 成田山参拝 「ねえ、あんたは何お願いしたの?」 「えっ?まああれだな、どこかの妹様に振り回されないですむようにって…。」 「なによそれ!この私があんたを振り回してるとでも言いたいの?」 「いや、実際そうだろ!そういうお前は何をお願いしたんだ?(言えねえ、本当は家内安全・特に桐乃の件でなんて…。)」 「え?わ、私は…。あんたを一生振り回せますようにって…。(本当は兄貴と一生添い遂げられますようになんて言えない…)」 「はあ…。」 「なによ、そのため息は?」 自宅で1泊w 48 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/21(木) 09 39 46.27 ID dfUfOCXQ0 [2/3] 2日目 千葉(自宅)→茂原→白子温泉 「兄貴、ここ混浴だって。襲わないでよ!」 「お、襲うわけねえだろ。とりあえず更衣室は別々だな。」 IN風呂 「兄貴?入るよ。」 「って桐乃?お前なんで水着なんだよ。」 「こんなこともあろうかと用意してきたのよ。」 「ってあれ?兄貴?股の辺りが…。」 「ええい、静まれぃ。俺のリヴァイアサン!!」 「へえ、兄貴私に発情しちゃったんだ。」 「違う!断じて違う。違わないが違う!」 「じゃあこんなかんじならどう?」 「ぶはぁぁぁぁあ!!!」 「兄貴!?鼻血ぃぃぃ!!」 (桐乃が何をしたかは皆さんの想像にお任せします) 同時刻 IN松戸市 「この手ぇを離すもんか 真っ赤なお風呂ォォォォォォォォォォォォ。」 ってあら?私は『真っ赤な誓い』をニコ動に投稿するため歌っていたのに間違えるなんて…。 闇の波動が外房北部から来てるわね…? 兄貴回復後 九十九里浜→茂原→大原で伊勢エビを堪能→ローカル線に乗り養老渓谷へ、1泊 3日目 養老渓谷→五井→内房線佐貫町→マザー牧場 「兄貴ィ、羊がいる羊。」 「わかったからはしゃぐなって」 「羊って『め~っ』て鳴くのよね?」 「まあ、そうだが。はっ、まさか桐乃!」 「気づくのが一歩遅かったわね。」 「やめろ!混ぜるな危険だ。」 桐乃「め~るめるめるめるめ め~るめるめるめるめるめっ」 羊 「………。」 桐乃「おかしいわね…。歌わない。」 京介「歌うわけねえだろ。」 桐乃「め~るめるめるめるめ め~るめるめるめるめるめっ」 京介「やめとけ、歌うわけねえんだから。」 羊 「め~るめるめるめるめ め~るめるめるめるめるめっ」 京介「ウソだろ…。歌いやがったw」 桐乃「やった~。」 羊 「メェ~、めぇ~!メェ~。(そりゃ『来栖加奈子』の屋外ライブであれだけ歌われりゃ頭から離れるわけねえだろ。だいたいこんなとこでライブするな、動物たちに迷惑だ!) 49 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/21(木) 09 45 17.63 ID +Gb2BqqiO [1/2] 黒猫…松戸近辺 沙織…木更津、鋸山(神奈川とアクアラインやフェリーで繋がってる縁) 麻奈実…佐原、水郷 加奈子…ベイエリア あやせ…犬吠埼、屏風ケ浦 こんな感じか 518 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/24(日) 23 23 39.16 ID WVHzA4pB0 [3/4] さて 48の続きを投下するか…、中途半端な所で終わるのも癪だし…。 千葉と言っても九十九里か内房・安房鴨川方面にしか行ったことないけどw もう少々アホな書き主にお付き合いください。 ちなみに1回北へ戻りますが主はあまり千葉県に詳しくありませんのでご容赦を…。駄文注意! 加奈子「へくしょん。あれ?風邪ひいたかな。誰か噂してるんだろうがどうせキメぇオタク達だろ…。」 マザー牧場→佐貫町→富津岬 「兄貴、右も海なら左も海だ~。夕焼けも綺麗」 「わかってるからあまりはしゃぐな。」 「そういや兄貴?富津岬にまつわる都市伝説って知ってる?」 「なんだそれ?聞いた事ねえな?」 「じゃあ兄貴?千葉県のマスコットキャラ、チーバ君は知ってる?」 「ああ、確かSuicaのペンギンと作者は同じアレだろ。うちの高校で県教育委員会発行のプリントにも書いてあるし…。」 「そう!でこの富津岬はチーバくんのデザインから省かれてるの。」 「え?なんでだ?」 「それはね、富津岬をチーバくんのデザインに入れてしまうと丁度ち○○んになるんだって。」 「ブハッ…。(缶コーヒーを噴き出す。)お前なぁ、こんなとこでそういう下ネタを言うな。」 「で、結局千葉県は富津岬を入れると『デザインが如何わしくなり、卑猥だ。』との理由で省いたみたい…。そういや昨日の兄貴の…。」 「もうその話題はやめい!とりあえず景色を伝えようぜ。これ以上言ったら森田知事に叱られるぞ。」 「というわけで兄貴、望遠鏡ある?」 「はいよ。」 「じゃあ見てみる。ねえ兄貴?向こうの方に煙突が3本見えるけどあれはなに?」 「どれ?貸してみな?あれは横須賀火力発電所だな、なんでも完成当時は世界最大出力の火力発電所だったらしい。最近休止したらしいが、福島原発の影響でまた運転再開するそうだぜ…。双眼鏡返すわ…。」 「ふ~ん。てか、あんた今はやりの工場オタ?なら一緒に夜景見に行ってもいいけど?(ふひひ…、これで兄貴と綺麗な夜景が見れる。)」 「いや、中学の時に地理で習ったんだ。」 「なんだ…。せっかく一緒に工場の夜景見に行けると思ったのに…。」 「ん?なんか言ったか。」 「なんでもない!あ、あそこランドマークタワーだよね?」 「もう1回貸してくれ。どれどれ…、ありゃ確かにそうだな。お、ヘリが離陸するのも見えるぞ。」 「ちょっと貸して。あ、ホントだ。でもあんなところに空港ってあったかな?てか兄貴電話なってるよ…。」 「お、気づかなかった。って沙織からか…。もしもし?」 「お久しぶりでござる、京介氏。」 「おう、久しぶりだな。なにか用か?」 「いや~、今京介氏ときりりん氏が一緒にいるのを見まして、デートかなあ?と思いまして…。」 「いや、デート中じゃねえよ。森田健作知事が『うちの県のPRをしたいんで、ぜひモデルの高坂桐乃さんにお願いして千葉県観光PRビデオに出てもらおう。』 ってなって俺がそのビデオの撮影者兼桐乃の保護者ってことだ。てかおまえはどこから俺たちを見つけたんだ?さっきから辺りを見回しても沙織の姿が見当たらないんだが?」 「それは秘密でござる。」 「いや?マジで気になるからね!」 「ねえ、兄貴?横浜方面から離陸したヘリこっちにきてるよ。」 「何ぃ、まさか…。」 「じゃあ私は所要があるのでこれで失礼するでござる。」 「あ、おい。ちょっとまて…。」 ツー・ツー・ツー 520 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/24(日) 23 24 49.01 ID WVHzA4pB0 [4/4] 兄貴?沙織なんだって?」 「いや、なんか俺たちの姿を見つけたらしくデート中かと思ったんだとよ。」 「でも沙織の姿見当たらないよ?」 「いや、もう見当はついてる。」 「え!?」 「さっきのヘリがどこにいるかわかるか?」 「え?まさか…。」 「そのまさかだ。」 「京介氏~、きりりん氏~。」 「上から沙織の声がする。って…、パラシュート?」 「そういうことだ。とりあえず沙織が着陸したら行ってみようぜ。」 「うん。」 沙織着陸後 「きりりん氏、京介氏。お久しぶりでござる。」 「おう。沙織はヘリの中から俺達を見つけたな。」 「いや~、ばれてしまいましたか。」 「てか沙織パラシュートもやるんだ…。」 「このくらいはミリオタとして当然でござる!(キリッ)」 「いや、そんな顔でいわれても…。第一ミリオタの基準高くねえか?まあいいけどよ…。ところでおまえはこれからどうするんだ?」 「あ、考えてなかったでござる!てへぺろ(・ω<)」 「「おい~!!」」 「どうせなら丸1日だけご一緒してもいいでござるか?」 「まあいいか、桐乃も別に構わないよな?」 「まあ、旅は道連れ世は情けって言うしいいんじゃない?」 富津市で1泊 とりあえずこまごまと投下していくことにしたw -------------
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<俺の妹の手料理がこんなに○○なわけがない(SIDE:桐乃)> ※多分7巻2章後。 ※注意事項:寂しい系、むしろ切ない系、妄想過多、エロゲのような主人公の兄貴 試験期間中の放課後。 部活も仕事もない今日、親友のあやせ達と下校し、あたしは家に帰った。 「ただいま、お母さん。」 「おかえりなさい、桐乃。」 お母さんはそれだけ言うと、なんだか慌ただしく出かける準備をしていた。 旅行用カバン? 「桐乃。今日からお父さんとお母さん、泊りがけで出かけるんだけど、アンタ大丈夫?」 「えっ、大丈夫だけど、どうかしたの?」 昔、両親がお世話になった共通の恩人が、交通事故に遭って入院したらしい。 それで、その人にはもう身寄りが無く、身の回りのお世話の出来る人がいないから、 そういうサービスの手配と、昔の恩返しのために色々世話を焼きに遠地まで行く、ということだ。 「京介も18だし、アンタもしっかりしてるから。安心して出かけられるわ。」 「当たり前でしょ。アイツはともかく、あたしを誰だと思ってんの、お母さん。」 あたしは、いつもの自信満々の態度でお母さんに言ってあげた。 律儀な両親が安心して恩人を助けに行けるように。 困っていて、どうしようもない時に誰かが助けてくれる、その喜びを あたしはよく知っているから。 「お兄ちゃんと喧嘩しちゃダメよ。」 じゃあ、京介にもよろしく言っといてね、と言って、お母さんは出かけて行った。 喧嘩しちゃダメ、か。 ゴメン、お母さん。それは約束できないかな。 「――ふう。」 あたしはコーラで喉を潤し、ソファに腰掛けてファッション雑誌を手に取った。 いつも通りのあたしのリラックスタイムだ。 でも、今日は雑誌をパラパラとめくるものの、内容に集中できない。 ―――明日まで、兄貴と、京介と二人っきり。 さっきから、あたしの頭はそのことで一杯だった。 嬉しさと、同じくらいの苦しさと、期待と、諦観。 あたしと京介は、以前は最悪に仲の悪い兄妹だった。 京介は、ある時期からあたしを無視するようになり、まるであたしが存在しないかの ような態度をとるようになった。 あたしは何故そうなってしまったのか分からないままに、だけどひとつだけ理解していた。 ―――あたしの兄貴だった人は、いなくなってしまったんだ、ってことを。 だからあたしも、京介に対しては、あんたなんか大嫌いって、そんな態度をとるようになった。 でも、去年の初夏。忘れられないあの日。 あたしがいつからか夢中になっていた、人には言えない、でもとても愛しい『秘密』。 それを、ドジを踏んで京介に知られてしまった。 あたしの周りには、あたしの趣味を理解してくれそうな人なんて一人もいなかった。 親友のあやせも、両親も、もちろん京介だって、アニメやゲームにはちっとも興味が無い人たちだ。 だから誰にも相談できなかったし、オタバレなんてしたら生きていけないと思っていた。 なのに。 「お前がどんな趣味持ってようが、俺は絶対バカにしたりしねぇよ。」 その後も、京介はあたしを何度も助けてくれた。 オタクの友達を作るのを手伝ってくれた。 あたしの大切な趣味を守ってくれた。 あやせに絶交された時も、仲直りさせてくれた。 深夜の秋葉原から、電車もタクシーもないのに飛んで帰ってきてくれた。 京介のおかげで、あたしの人生には楽しいことがいっぱい増えた。 だからアイツにはとても感謝している。 でも、その度に、今では当たり前のように、考えるようになってしまった。 アンタ、あたしのこと嫌いなんじゃなかったの、って。 あたしには、なんで京介があんなに優しくしてくれるのか、分からない。 「一緒に帰ろうぜ。じゃないと俺、死ぬかもしれない。」 あたしがいないと寂しいって、そういって泣いてくれて。 京介にそう言ってもらえたら、他の何より力が湧いてくる自分に気付いて。 それなのに、いまだに京介は、不機嫌そうな、うざったそうな目であたしを見てくる。 あたしたちの関係は、変わっていない。 だから考えてしまう。 基本的に京介はお人よしだ。 だから、単にあたしが『妹』だから助けてくれるだけで、優しくしてくれるだけで、 ほんとは、あたしのコトなんか―――――――――。 あたしの新しい、誰にも言えない『秘密』。 とても大切で、何度も捨てようと思って、でも出来ないあたしの『秘密』。 もう、自分ではどうにも出来なかった。 「―――はあ。バカ兄貴。あたしにどうしろってのよ。」 いつの間にか、ソファにうつ伏せになって、ボーっと考えてしまっていた。 親がいないからって、だらけ過ぎよね。 それに、京介が帰ってきて最初に見るあたしが、こんな姿なんて、ヤだし。 あたしは部屋に戻って部屋着に着替え、姿見でチェックする。 ・・・超カワイイじゃん、あたし。 少し自信も戻ってきたので、今日の貴重な時間をどう過ごすか、計画を立てることにしよう。 10分後。 今晩の予定を立てたあたしは、いつも通りリビングで待機することにした。 あたしの立てた計画はこうだ。 まず、夕飯は京介と外食に行こう。 服もあたしが見立ててやって、あたしもバッチリカワイイ服でキめて、 去年買って貰ったピアスをつけていこう。 京介、気付いてくれるかな。鈍感だから、あんま期待できないけど。 頑張って、また腕も組んでみよう。デートの練習とか言って押し切れば、なんとかなるはず。 京介、どんな顔するかな。不安だけど、ちょっと楽しみ。 帰ったら、メルルのDVDをリビングの大画面で見よう。もちろん2人で。 京介は嫌がるかもしんないけど、今日は神シーンばかり見せて、絶対面白いって言わせてやりたい。 そしたら、これからも一緒に見てくれるようになるかも、だし。 1時間後。 あたしは今日の楽しい予感を味わいながら、ちらちらと時計を気にしていた。 時計は午後5時30分を示している。 ・・・京介、遅いな。 図書館で勉強とかしてるのかな。 何だかんだで受験生だし。 こんな日くらい早く帰ってきなさいよね。 あたし、楽しみにしてるんだから。 さらに1時間後。 ・・・おかしいな。 もう門限の時間なのに、京介は帰ってこない。 もしかして、何かあったのだろうか。 アイツが門限までに帰って来なかったことなんて・・・。 「―――――あ。」 あたしは、今日の楽しい予感が全部崩れていく音を聞いた気がした。 ウソ。そんなのってないよ・・・・・・。 京介に連絡して確認―――。 ・・・ダメ。あいつから「そう」だって聞くのは耐えらんない。 「ごめんね、桐乃。・・・ったく、京介も間の悪い子ね。」 「ううん、忙しいのにごめんね、お母さん。それに、あたしなら一人でも大丈夫って、 知ってるでしょ?」 「それもそうね。でも桐乃。夜道は気をつけるのよ。あんた、あたしに似てカワイイんだから。」 「うん、そうする。じゃあ切るね。」 ―――ピッ。 「・・・・・・・・・。」 京介は田村さん―――地味子のところで夕食をご馳走になっているそうだ。 なのに、あたしはそんなことも知らずに、ドコ行こうとか、何しようとか、 一生懸命考えて―――。 「バカじゃん、あたし。」 そう、独り言を漏らして、考えたくもないことを考えてしまう。 あたしは京介が地味子と話している姿を思い出してしまった。 心からリラックスして、優しい顔。 まるでそれが当然のように、相手を信頼している穏やかな顔。 あたしには絶対向けてくれない、そんな顔を。 思い浮かべて、寂しくて、涙が出てきた。 「あたしがいないと寂しくて死んじゃうんでしょ。シスコンでしょ、アンタ。」 「なのに、なんであたしを一人にするのよ、バカ兄貴。」 「アンタが何考えてるのか、分かんないよ―――。」 膝を抱えて顔を埋める。 分かってる。 アイツにとって、地味子の方が、気が合う、安心できる奴なんだって。 でも、それもそうかもね。 あのヒト、いっつも柔らかくて、あったかくて、穏やかな顔してるもん。 京介は鈍感だから気付いてないかもだけど、好意丸出しって感じ。 あたしは、そんなの出来ない。怖いから。 ホントはあたしのコト嫌ってるかもしれない京介に、そんなの出来るわけないじゃん。 勇気だして、ホントのコト言って、また気持ち悪いみたいな顔されたら。 あたしきっと、どうしていいかの分かんない。 あやせに絶交された時みたいに、落ち込んでるのを誤魔化すしか出来ない。 あんた、いっつもあたしのこと、強いヤツみたいに言うけどさ。 ホントは弱いんだよ、あたし。 あんたに嫌われてたらって、考えると泣いちゃうくらいには。 あたしの弱いトコなんて、見せられる人、あんまいないんだよ? お父さんやお母さんは、あたしのこと自慢の娘だって思ってくれてる。 親友のあやせだって、あたしのこと自慢の親友だって言ってくれてる。 モデル仲間や、陸上部のみんなだってそうだ。 高坂桐乃は何でも出来て、カッコよくて、スゴイんだって、そう思ってくれてる。 あたしはそれがすごく嬉しいし、絶対、その信頼は裏切りたくない。 そうじゃない、ダメなオタクのあたしを見てくれる人たちだっている。 黒猫は、どんなにケンカしても、懲りずにあたしと付き合ってくれて。 沙織は、あたしや黒猫といっしょにいて、心から楽しそうにしてくれて。 どっちかなんて選べない、大好きな友達。 あたしには、こんなにも大事なものがたくさんある。 きっと、誰からも羨ましがられるくらい、恵まれてるって思う。 でも、それでも。 誰よりあたしに力をくれるのは、アンタなのに。 一緒にいられなくて、一番寂しいのはアンタなのに。 「なんで帰ってこないのよ、バカ兄貴―――――。」 ひとしきり落ち込んだ後、メイクを直して。 アイツが帰ってくるまでどうしようかと考えていると。 台所で、お母さん愛用の料理雑誌を見つけた。 「料理、か。」 もし、あたしがすっごく料理上手で、京介の好きなもの、 何でも作ってあげれたら―――。 そんな縋るような気持から、料理を覚えようと思った。 いつも通り、妥協せず、徹底的に。 あたしは、落ち込んだ気持ちが立ち直るのを感じながら宣言する。 「絶対、美味しいって言わせてみせるから。」 「覚悟しなさいよね、バカ兄貴。」 終われ -------------